友人が書き上げた自叙伝、音による感想2曲目です。
春はあっという間に過ぎ去る、何だか優しく淡く悲しい感じがします。
それが嫌なわけではなく、限られた時を体現するからこそ艶やかで美しく映るのでしょう。
今は遠く離れたこの場所で、故郷を思い返して筆を執り、交錯する懐かしさと重苦しさ。
その象徴的で宿命的ですらある存在が「春」なのかもしれません。
悲喜交交、言葉に尽くせず言い表せぬ多くの想いを載せて
それでも時は、さらっと知らん顔して過ぎ去ってゆくのでしょう。
LIFE OF ONE'S OWN
- 30 Metaphor Music for Road to Edge of Life
時は訪れるべきを、去るべきを悟り音もなく静かに移ろい、
人はそれを季節だと感じるのかもしれない。
たとえ、どんなに残酷なあの春も。
様々な想い交錯し、蘇る複雑なあの春も。
春はただ、知らん顔して穏やかな風に乗りふたたび巡りゆく。
時に過酷な現実を突き付け、時に傷つきこわばった人の心すらも柔らかにしてゆく。
時がもたらすその矛盾があるからこそ、人は痛みに耐えて歩いて行けるのかもしれない。
変わりゆくもの、変わらずそこに有り続けるもの。