ふたたびの季節 - 小林春彦著「18歳のビッグバン」への30の感想曲より  | Life of a soliloquy

Life of a soliloquy

素人音楽作家、イシカワの日記です。

友人が書き上げた自叙伝、音による感想2曲目です。

春はあっという間に過ぎ去る、何だか優しく淡く悲しい感じがします。

それが嫌なわけではなく、限られた時を体現するからこそ艶やかで美しく映るのでしょう。

今は遠く離れたこの場所で、故郷を思い返して筆を執り、交錯する懐かしさと重苦しさ。

その象徴的で宿命的ですらある存在が「春」なのかもしれません。

悲喜交交、言葉に尽くせず言い表せぬ多くの想いを載せて

それでも時は、さらっと知らん顔して過ぎ去ってゆくのでしょう。

 

 

LIFE OF ONE'S OWN

- 30 Metaphor Music for Road to Edge of Life

2.ふたたびの季節 ‐ In Primavera  

時は訪れるべきを、去るべきを悟り音もなく静かに移ろい、

人はそれを季節だと感じるのかもしれない。
たとえ、どんなに残酷なあの春も。

様々な想い交錯し、蘇る複雑なあの春も。

春はただ、知らん顔して穏やかな風に乗りふたたび巡りゆく。
時に過酷な現実を突き付け、時に傷つきこわばった人の心すらも柔らかにしてゆく。
時がもたらすその矛盾があるからこそ、人は痛みに耐えて歩いて行けるのかもしれない。
変わりゆくもの、変わらずそこに有り続けるもの。